といったことで悩んでいませんか?
僕は七段審査の時にすごく悩みました。
あれこれ調べたりした結果、僕なりの結論を出しました。
結論は、「昇段審査で極端に色あせた剣道着・袴は避けるべき」です。
そして、避けるべき理由は3つあります。
- 審査員の評価に影響を与えるから
- 自信をもって審査に臨めないから
- 審査員に対して失礼だから
良ければ参考にしてください。
理由1.審査員の評価に影響を与えるから
1つ目の理由は、「審査員の評価に影響を与えるから」です。
審査の着眼点の一つに、『正しい着装と礼法』があります。
そのため、審査員の先生方は受審者の着装をしっかりチェックしています。
当然ながら、受審する段位が上がるほど、審査員のチェックは厳しくなります。
六段以上を受審するとなると、風格や品位のある着装を求められます。
書籍「剣道 審査員の目」で、佐藤博信範士は以下のように述べています。
佐藤博信範士
稽古着、袴や剣道具をしっかりと身に付けていることは当然のことです。入社試験であれば折り目正しい背広を着ていくでしょう。
「剣道 審査員の目」より
正しく着ることも当然大事ですが、何を着るかも大事です。
ひどく色あせた剣道着・袴では、審査員に「その程度の思いで受審している」と思われかねません。
最近では、寺地種寿教士八段が、2024年2月に長野で開催された剣道六・七段審査会の寸評でこう述べています。
審査の着眼点で、『正しい着装と礼法』とありますが、立合いの前に確りと準備をして下さい。面紐の長さは結び目から40㎝以内、手拭いが頭からヒラヒラ、袴の裾が前上がり、垂を締めた後の腰辺りの剣道着と袴の皺、色あせた剣道着・袴、自分勝手の礼法や着装によって、風格・品位が損なわれています。事前の準備点検を万全にして審査に臨んで下さい。
2024年2月剣道六・七段審査会(長野)寸評より
また、山崎尚範士八段も、2024年5月に愛知で開催された剣道六・七段審査会の寸評でこう述べています。
まず、最初に剣道着・袴については、必ずしも新しいものでなくてもいいですが、色あせしていないものを準備し、正しい着装をする。剣道具については自分の体格にあったものを身に付けること、竹刀は相手に怪我をさせる危険性があるため、審査の時はもちろん常に稽古の前後に必ず点検することを心掛ける。面紐の結び目も正しい位置で結んでください。
2024年5月剣道六・七段審査会(愛知)寸評より
もちろん、審査員もそれだけで不合格にはしないでしょう。
しかし、いくらか減点をしたり、無意識的に見る目が厳しくなる可能性はあります。
風格・品位のない着装で、立合い前から審査員の心象を悪くするのは避けるべきです。
理由2.自信をもって審査に臨めないから
2つ目の理由は、「自信をもって審査に臨めないから」です。
人は着ているものによって心が動かされます。
こんな経験ないでしょうか?
- 格好いい服を着て出かける時は、心なしか堂々と歩いている。
- お気に入りのスーツを着いる時は、自然と背筋が伸びる。
- 寝間着のまま在宅ワークをしても、ついだらけてしまう。
- 部屋着のまま街中を歩くのはなんとなく気後れしてしまう。
スタイリストの大山シュンさんもこんなことを言っています。
人って、安い服を着ているとどこか不安に思えてしまうものです。ユニクロのスーツで大切なパーティーに出れますかと聞かれたら、ちょっと自信は持てないという人も多いはずです。ユニクロが悪いわけじゃなくて、気持ちの問題です。
「高い服」と「安い服」の違いを考えてみた。
ここでは値段の話をしていますが、値段に限った話ではありません。
要は、「自分が心から納得できるものを着ているか?」が重要です。
昇段審査で色あせた剣道着・袴を着た時に、あなたは自信が持てるでしょうか?
ほとんどの人は自信を持てないと思います。
逆に、色合いもサイズ感も着方も申し分ない着装をした場合はどうでしょうか?
少なくとも着装に関しては、自信を持って審査に臨むことができるはずです。
理由3.審査員に対して失礼だから
3つ目の理由は、「審査員に対して失礼だから」です。
「剣道防具工房 源」の昇段審査特集ではこのようなことを言っています。
審査はあくまでも審査員に日々の厳しい稽古の成果を見てもらう場所です。見てもらうのに色あせた剣道着袴では失礼に当たりますよね。と、伺ったことがありすごく納得いたしました。
「剣道防具工房 源」より
審査員の先生方も審査員としてふさわしい格好で審査をしています。
受審者も相応の格好で審査に臨むのが礼儀と言えるでしょう。
この相応の格好というのも、明確に定義されているわけではありません。
個人的には、「審査だから、この剣道着・袴を選んで着ました。」と言えればいいと思っています。
ジャージ素材の剣道着・袴も避けるのが無難?
ジャージ素材の剣道着・袴を昇段審査で着るのはどうでしょうか?
軽いし動きやすくて個人的にも大好きなのですが、昇段審査で使うには注意が必要と思います。
- 綿素材のような見た目であること(ジャージだとばれないこと)
- 着ることで自信をもって審査に臨めること
- 審査員に見てもらう着装として問題ないと思えること
この3つの項目を満たすことができるなら、ジャージ素材でも問題ないと個人的には思っています。
詳しくはこちら。
ちなみに、僕も剣道着はジャージ素材のもので七段審査に臨んでいます。
見た目は綿の剣道着そのものです。
軽くて動きやすくて見栄えもいい。
しかも洗濯機で洗えて色落ちもほとんどしない。
控えめに言って最高です。
この剣道着・袴で大丈夫かな…?悩むなら新調or染直しを!
具体的に、どの程度の色あせ具合いなら昇段審査で着用しても大丈夫なのでしょうか?
悩ましいことに、明確なOK/NGのラインはないです。
評価に影響するか?はその時の審査員の主観によります。
また、自信を持って審査に臨めるか?は受審者本人の主観です。
個人的には、こんな↓状態でなければいいと思っています。
- 全体が紺色ではなく水色よりの青色
- 紐で擦れた部分が目立つ
- 上下で色の差が目立つ
ですが、これもまた僕の主観です。
いくら悩んでも解決することはありません。
ですので、悩むようならばNGと考えて対策をとるのがおすすめです。
とれる対策は2つです。
- 新しく剣道着・袴を購入する
- 色あせた剣道着・袴を染め直す
さっさと解決させて、他のことに考えを巡らせる方が有益です。
新しく剣道着・袴を購入する
審査用に剣道着・袴を新調して気合をいれる人は多いです。
店舗で買う場合は、審査用であることと、予算を伝えましょう。
ちょうどいいのを出してくれるはずです。
ネットで買う場合は、昇段審査に適したものであるかはしっかり確認してください。
「剣道防具工房 源」では、剣道着・袴のページに、審査におすすめの商品を一覧で紹介しています。
ここから選べば、間違いはないと思います。
「剣道防具工房 源」では、剣道着・袴以外にも、審査に向けた商品を紹介している昇段審査特集のページもあります。
ぜひ覗いてみてみてください。
色あせた剣道着・袴を染め直す
- 手持ちの剣道着・袴に愛着がある
- 剣道着・袴の数をこれ以上増やしたくない
こういった方には染直すのがおすすめです。
染直す場合、2つ選択肢があります。
- お店で染直す
- 自分で染直す
お店で染直す
お店で染直しを頼む場合、プロがしっかり染めてくれます。
自分で染直すよりは費用がかかるものの、楽だし安心できます。
- 多少お金がかかっても失敗したくない
- 自分で染めるのは面倒くさい
という人にはおすすめです。
興味のある方は武道具店で相談してみてください。
また、宅配で剣道着・袴の染直しを受け付けているお店もあります。
近くに染め直しをしてくれるお店がない方はご検討ください。
自分で染直す
自分で染直す場合、費用を抑えることができます。
また、お店に出すより手間はかかりますが、自分でやってみるのが楽しかったりします。
- 手間がかかっても安く染直したい
- 染め直し作業に興味がある
という人にはおすすめです。
自分で染直す場合、染料を買う必要があります。
ちなみに私は↑の染料を使って審査用の袴を染め直しました。
詳しくはこちらの記事で。
新調・染直しをするときの注意点
剣道着・袴を新調する場合も、染直す場合も、気をつけたいポイントが3つあります。
- 高価なものである必要はない
- 上下で色の差があるのも良くない
- 新品すぎるのも良くない
高価なものである必要はない
高価なものの方が自身の気持ちが高まるという人もいますが、必ずしも高価なものを着るべきというわけではありません。
審査員だって、立合いの間ずっと着装だけを見ているわけではないです。
高価かどうかなんてわかりません。
しっかりと手入れされたものを正しく着ていれば、風格・品位は出せます。
上下で色の差があるのも良くない
剣道着・袴の一方だけが新しいと、上下で色の差が出てしまって見栄えがよくありません。
私も七段審査用に剣道着を新調した時、急に袴の色が薄く感じたことがあります。
結局、袴を自分で染め直しました。
新調・染直しをする場合は、上下揃えてする方がおすすめです。
新品すぎるのも良くない
書籍「剣道 審査員の目」で、村山慶佑範士はこのように述べています。
村山慶佑範士
稽古着や袴は新しいから良いというものではありません。むしろ藍は真新しいものよりも少し色あせたもののほうが美しいと思います。水通しが利いていて折り目正しいものに奥ゆかしさを感じます。
「剣道 審査員の目」より
特に、蹲踞から立ち上がった時に袴が膨らんでしまうのは不格好です。
ある程度色落ちが落ち着くくらい着用してから審査に臨むのが理想といえます。
審査に向けて新調したり染め直しをする場合、何回か稽古で使用できるよう、期間に余裕をもって行うようにしましょう。
色あせていない剣道着・袴で昇段審査に臨もう!
この記事では、昇段審査で色あせた剣道着・袴を避けるべき理由について紹介しました。
- 審査員の評価に影響を与えるから
- 自信をもって審査に臨めないから
- 審査員に対して失礼だから
色あせ具合のOK/NGの判断は結局は自分次第です。
「俺はこの剣道着・袴で合格してやる!」
と言える人は自信をもって受審してください。
「この剣道着・袴で大丈夫かな…?」
と思う人は、悩み続けるよりもさっさと新調するなり染直すなりした方が得策です。
皆さんが自信をもって昇段審査に臨まれることを祈念しております。
以上です。ありがとうございました。